2009年5月26日火曜日

一周目。二周目。

職業的に世の中に流れている音楽を耳にする時、
冷静に判断を下している人格が、脳内に居ます。
一時期は物凄く悩まされたのですが、最近はすっかり大人しくなって、
上手に共棲出来ている感じ。


昔から井野君と話しをする時、その話題がモノや作品、
またはそれらの創り手の話になると、「一周目か?二周目か?」
といった評価をしている事が多い。

上手く説明出来ないのだけど、一周目というのは素人さんや若手といった
浅い経験の人を指すのではなく、対象となる作品や表現において
自分が好きだ、と思えることをやり通している人を指す。
対して、二周目の人は自分の作品や表現において、
自分自身を客観的に見つめられる人を指す。
うーん、なんか違うな。難しい。
別にどちらが優れた表現をしているか、って話ではないです。
性格を大きく二つに分けたらどっち?みたいな。
もちろん、どちらの性格も皆持っているのは前提で。


音楽家で例えるなら矢野顕子は一周目で、坂本龍一は二周目。
芸人で例えるなら明石さんまは一周目で、劇団ひとりは二周目。
パスタで例えるとナポリタンは一周目で、プッタネスカは二周目。
・・・いや、勝手に決め付けて済みません。異論は大いに認めます。


前者は天才的、後者はアーティスティック、稀にアカデミックと言われる感じ。
僕はどちらかと言うと、後者だったのかなぁと。
で、それが気付いてみたら前者になりかけている、と。

あ、俺天才!って話でもないですよ。念の為・笑

何と言うか、常に自分の作品や演奏、スタンスに対してまで、
冷静に見つめているもう一人の自分が居たのですね。
勿論、誰でも自分の中に客観性を持った人格がいるでしょうけど、
僕はその人格に決定権をかなりの割合で委ねてしまっていた気がします。
自分の書く曲や演奏に対して、結構冷静な視点で判断を下すから、
基本的に減算式なわけです。そしていつも「これでいいのか?」って
自問自答を繰り返していた感じ。
「これだ!」と自分でも思った作品が完成しても、「理解されないだろうなぁ」
って思っちゃう。

そんな視点でお笑いや映画を観ても、心底楽しめないんですよねー。
このネタ、別の番組で見た時はキレがあったのにな、とか考えるわけです。
・・・厄介な客だなぁ。
経験上、表現者も受け手も二周目同士だと、大抵は悪い評価になります・笑。


最近曲を書く時、すっかりこの人格が顔を出さないのです。何故だか。
仕事のし易い環境というのもあるけれど、書きたいモノが書けているというか。
自分の壁は感じるけれど、確かに自分の心が動く曲になっているというのか。
おまけに涙脆くなってるし・笑。
作家としては、何だかとても楽な気がします。
出すもの出し切ってから落ち込めば良いのよね。
出すか、出さざるべきか、で悩むのは大きな成長に繋がらない。
Let's ポジティブシンキング。
悩みや不幸があっても、うわー、俺ってネガティブー!と叫べば、あら不思議。
マイナスとマイナスが掛け合わさってプラスになります。お試しあれ。


ふと思った。
もしかして、これって年のせい・・・?
これ以上は辞めておこう。


ちなみに、カツ丼は一周目で天丼は二周目。
アクエリアスは一周目でポカリは二周目なのです。


やっぱよくわからん。


2009年5月25日月曜日

ビオラに夢中

久し振りにゆったりとした休日を過ごしました。
近所のKALDIが7周年記念セールだとかで、全品10%OFF。
ホールトマト1缶80円!?
保存のきく乾物類やパスタ、アンチョビやらオイルを買い込んで
そのまま買い貯めてあったスコアを読みまくりです。


土曜日はプッチーニを読んで、日曜日はアメリカの作曲家数人と
現代映画音楽の作品を数点。
ミーハー的に、自分の好きな箇所を抜粋して、読んで、書き写して、
最後にはオケの打ち込みをしつつ、偉大な作曲家の技法に溜息しつつ、
最後には完全降伏して大笑いしながら打ち込みしてました。
いやほんと、冗談抜きにすげー!すげー!言いながら笑いっぱなし。
バーンスタインに見られたら殴られてます、間違いなく。
それより休日に雨戸閉めきって薄暗い部屋の中で、スコアみつつ
大笑いしている30代ってドウナノ。


高校生の時、あれ程聴きまくったウェストサイド物語も、
改めてスコアを見てみると、そのスコアリングの素晴らしさに溜息が出ます。
フルスコアは235,00円とかしますけど、値段以上の価値がありました。
今風に言うと、バーンスタインの"ネタバレ"が全部詰まってこの値段は安い。

コープランドやバーンスタインといった、アメリカを代表する作曲家の作品は、
現代の映画音楽に、とても影響を及ぼしているんだなぁと。
何一つ無駄の無い音の配置と関連付けは、奇跡としか言い様がありません。
とても高度で複雑な作品なのに、様々な人が一度で覚えられるフレーズを
書き上げたのはとても参考になります。

特にビオラの"やっていること"に面白さを感じ、これは作家の個性や技法を読み解く
ヒントになるのではないか、と思います。
ヴァイオリンの様な煌びやかさは無く、チェロの様な豊かさもないけれど、
何とも言えない味のある音色と絶妙な音域は、気付かないけれどとても重要な
役割を担っています。
耳を澄ませて微かに聞こえる程度なのに、消えると一気に色褪せるあの感じ。
ハープも似ているな、と思います。

アメリカの音楽やハリウッドの映画音楽に感じる、圧倒的なステレオ感を
出す為にも、ヴァイオリンとは異なる扱いにしないと駄目なんだなぁ。
1st/2ndの区別も同じだけど、さ。
ちょっと久し振りにお仕事とは関係なく、効果的に弦のアレンジを実験した
作品を書いてみようと思います。
技法から入った曲って佳作止まりになる傾向が強いから気を付けないと。


まだまだ勉強です。
しかしWebを見れば様々な楽器や奏法、著名な指揮者の演奏が沢山あって
よい通信教育環境だ、と思うのは不良学生だろうか。



2009年5月20日水曜日

パクリの技法

打ち合わせに行くと「○○っぽい感じで」ってオーダー頂く事があります。
大抵は、楽器の編成だったり、楽曲の年代や構成を指す事が多いのですが、
稀に「スターウォーズっぽいやつよろしく」とか言われて困る訳です。

「○○っぽい」という曖昧なオーダーから、真剣に分析を始める事が
仕事としての第一歩だったりするのですが、これが難しい。
さぁ皆さん、バレないように上手にパクりましょう!という話ではなくて、
何をもって、○○っぽいのか。あれこれ考えるのですが、
世の中には、このオーダーまんま曲を書き上げる人がいるから困るのです。

転調すればいい、最初のリズムだけちょっと変えよう、とか、
安易な取り掛かりで書き始めると、自分の首がきつく絞まります。
というか、法的にアウト。
ただ、法律的に回避しつつ似た楽曲が書ければOKなのか?というと
それも間違っている気がしてならない。

そもそも「○○っぽい」という対象になるものって、どんな分野でも
その道のある種スタンダード且つメジャーなものが殆どじゃありませんか?
完成されたものに対して、小手先の小細工で加工を施すと、
オリジナルを超える作品にはなりません。絶対に。

音楽って感動出来る箇所が沢山ある。
数ある芸術の中でも直接心に触れてくるものだから、
映画で涙している場合、音楽に涙を流されている事が多いと感じる。
音楽だけ消して観ていたら恐ろしく感動の振れ幅が狭くなるのが
解るはず。
心と感情が強く動いたと感じたのなら、何故そう感じたかを
自分で分析して、何よりも感動を蓄積する事。
譜面ヅラだけ頭にメモしてそれを後で書き起こしても、人は感動しない。
間違いなく、自分も感動しない。

そもそも同じ楽曲を複数人の人が演奏すると、全部違って聴こえるハズ。
○○っぽい楽曲を書くのが仕事ではなくて、その楽曲から感じる印象や
感動するポイントを再現して、新たなリスナーを感動させたい、って
クライアントの意図を読み取らなくては、曲を書く目的が違ってしまう。

そう考えると、映画を観たり本を読んだり、勿論音楽を沢山聴く事も
そうだけど、家族や友人、恋人との会話で心が動かされる事は沢山ある。
とても音楽の表現方法に直結する事が身の回りにあるんだな、と感じる。
そこをパクればいいんだな、と最近気付いた。


感動する事だけではなくて、季節を感じたり空を飛んでいる感じがしたり、
恐怖や孤独を感じたり。
作曲家は全て音楽でそれを演出しないといけない。
自分が体感したり、感傷的になる事で始めて知る心の動きがそこにはある。


つまりはそうゆーことだよ。


昨日朝5時、妹に娘が産まれました。
始めて家族が増える実感を味わった訳だけど、
子供が出来る喜びを知ったのも始めてです。

世の中の女性が出産後に感じる喜びは、僕の感じた喜びの比では無いだろうけど、
少しだけ味わう事が出来ました。
母が子を想う曲が書けるようになるのかもしれない。
同時に「叔父さん」となった、何とも不思議な説明出来ない気持ちも
体感出来た訳で。


つまりはそうゆーことだよ。

2009年5月19日火曜日

USB3.0

いよいよUSB3.0の実用化となりそうです。


http://journal.mycom.co.jp/news/2009/05/18/048/index.html

業界だと現状、FireWire>>>USB2.0で、スタジオ終了後に
「このHDDにデータコピーしておいて」とディレクターから手渡された
HDDがUSB2.0だったりすると、ちょっと「!?」な感じなんですが、
今後はFireWireのHDDとか手渡したらお寒い感じになるんだろうか。


転送速度の理論値は以下の通り。

USB2.0      480Mbit
USB3.0      5Gbit
FW400(1394a-2000) 400Mbps
FW800(1394b-2002) 800Mbps(拡張仕様だと3200Mbps)

理論値的にはFW400よりもUSB2.0の方が勝るわけですが、
FWはSCSIコマンド体系をベースに設計されているので、
転送速度が安定しており、CPUへの不可も低い為、
結果としてUSB2.0よりも実用性で勝ります。

とは言え、USB3.0の転送速度は突き抜けすぎていて、
今まで25GBのデータ転送に14分必要としていた時間が、
70秒で転送可能との事。
何気にスタジオで作業終えた後のデータコピーって
関係者分を対処すると1時間くらい掛かりますもんねぇ。
これは助かる。

だけど、この時間に世間話に花咲いて、
新しい技術話や手法、次回の指針など、
ある意味大切な話も交わされるんですね。
この時間が少なくなるのは、ちょっと寂しい感じもします。

こうして見ると2009~2010年は、SSD/USB3.0/CPU分散処理、と
かなり大きく作業環境の強化が行われる気がします。
2009年末のMacProにはUSB3.0を搭載してくるだろうし、
今からMac貯金をしておくべきですかね。


こんな情報一つでも仕事のモチベーションが上がる不思議。



2009年5月18日月曜日

作業環境変更計画、始動

最近携わったお仕事から感じたのは、作業肯定の1/3に相当する時間に、
音楽以外での作業/処理時間が浪費されていること。

締め切り仕事に携わる身としては、1分1秒の時間がとても貴重なので、
クリック→1秒待たされる、が60回重なると1分のロス。
僕はかなり打ち込み作業が早い部類みたいだけど、
それでも皆一分間に最低10回はクリックしたり、
何らかのパラメーターを変更している。

現在使用しているMacの動作が遅くなる理由は明らかだし、
その改善策もはっきりしている訳で、今後導入するであろう、
気になる製品の導入を考慮に入れつつ、早めに環境改善を行いたいところ。


取り合えず、気になる新製品はこの2つ。


Vienna MIR
http://vsl.co.at/en/65/71/393/1165.vsl

Vienna Ensemble PRO
http://vsl.co.at/en/65/71/1598/1273.vsl#VE_Pro


一つ目のVienna MIRは、今後の作品が大きく変わる可能性を秘めています。
というか激変の予感?
簡単に言うと、コンサートホールの残響音を再現するもの。
なーんだ、今更IRリバーブっすか。と思いきや、
そこは流石Vienna純正。色々と凄いです。

オーケストラって考えてみればヴァイオリンの最後尾の人と、
コントラバスの人って距離にして軽く30mは離れてますよね。
当然ながら二つの楽器が聞こえてくる場所、その音の反響も変わってきます。

このVienna MIRは、なんと!楽器の配置を擬似的ではありますが、
コンサートホール上に行えるんですね。す、すげぇ。

というか、ギターやボーカルの為に考えられたリバーブ技術を
オーケストラに流用しても無理があるよなぁ。
先日井野君とのTD時に、正にこの話になって当たり前なのに、
なんで気付かなかったの僕ら!って話に・笑

オーケストラはコンサートホールを含めて1つの楽器。
基本的にエンジニアさんにMixを任せるという事は、
スコアの記述が不十分、という事になります。

だって譜面をきちんと書いておけば、演奏者はそのダイナミクスで
演奏してくれる訳ですから。
加えて聴かせたい旋律や楽器が埋もれてしまい、聴こえてこない、
というのは明らかに編曲ミス。
なので完成した音をエンジニアさんに渡して、後処理をお願いする、
というのは可笑しな話なんですね。
書いていて自分の耳が痛い~。

しかしながら、オーケストラをホール録音出来る機会なんて、
なかなかありません。
なのであくまでも"擬似的"に、本物の臨場感に近付ける処理が
必要となってくるんです。
それにはまずしっかりした作品と素材、知識と道具。これだけ。

今回のVienna MIRは、道具に該当するものですが、
逆に作品(曲/アレンジ)が浮き彫りにされるのも事実。
良い勉強になりそうです。

Vienna Ensemble PROは、PCをイーサネットで複数台接続して
CPU/メモリの分散処理を可能にするもの。
現在のバージョンは3ですが、これの後継になるようです。
3のユーザは無償アップグレードとの記戴があるので、
買っても良いですね。


てなわけで、やっぱり64bitのWindowsマシンを1台作ろう。
大幅に作業ストレスが軽減されること間違いなし。

どなたか秋葉原に買い物付き合ってくれる方、募集。



朝帰り

昨日のスタジオは結局朝までの作業となり、帰宅したのが朝6時過ぎ。

完成したばかりの作品を何度も繰り返し聴いているうちに、
気付いたら朝8時前。
何回聴いたんだろ。。。笑

素晴らしい演奏をして下さった武藤Stringsの方々。
何度となく監督さんとのやりとりの橋渡し、様々なデータの用意を頂いた
SCEサウンドチームの伊藤さん。
そして全ての関係者、スタジオ、その他打合せなどのスケジュールを
細かく管理してくれたマネージャの根木さん。

今回の素晴らしい現場を与えて下さったSCEの菊地さん。
最後の最後まで的確なディレクションをして頂き、御陰さまで
自分の作品中でもベストな仕上がりとなりました。

最後に過密スケジュールの中、仕込み、録音、Mixまで携わってくれた井野君。
10年前に出会ったスタジオで、今回は自分達の現場として一緒に仕事が出来ている事、
ちょっと不思議に思います。
お互いにまた一つ新たな発見をして、今後の制作での大きなヒントを得た感じ。

いやー、本当に楽しいスタジオでした。
皆様、お疲れ様でした!






左手奥からエンジニアの井野君。マネージャの根木さん。僕。
左手手前からSCEの伊藤さん、菊地さん。

時計の時刻は午前です・笑。


ハッ!指揮してるところ写真撮って貰えばヨカッタヨー。



2009年5月15日金曜日

明日のスタジオ

明日はいよいよ、先月から書いていた劇伴のレコーディングです。
この業界に入って、早10年。
色々な現場に色々な形で携わって来たけれど、
未だにスタジオの前日は興奮して寝付けません。

そこに出入りする人は、皆一つのモノを作る為に仕事を任された
プロの方々。
その方々の力を貸して頂いて曲が完成していきます。
作業プロセスや会話のどこを取っても無駄が無く、
「良いモノを創る」という目的に向かって全員がパフォーマンスを
発揮していく緊張感と、作品が完成した時の達成感が
たまらなく好きだ。

既に明日分の作業は、ほぼ完了していて、
目を閉じると明日には現実になっているであろう光景が、
ハッキリと目に浮かぶ。
明日のスタジオは、きっと大成功だろうな。
その日の為に、何度も譜面とデータを作り直し、
スタッフとのミーティングを重ね、色々な方々の力を借りて
迎える日なのだから、成功しない理由が見当たらない。

いつ頃までだったか、スタジオに入る前日は楽しみである反面、
今回が最後になりませんように、と何かに願っていたのを
ふと思い出した。
考えてみたら、ここ数年、そんな事思わなくなったな。

クライアントの方からOK頂くのは最低限のラインとして、
その先の、本来の目的であるリスナーの方々が喜んで頂けて、
更には自分でも満足のいく作品にするのはとても大変だけど、
どれか一つが欠けてもプロではなく、音楽家ですらもなくなる。

自分とクライアントだけが納得して、リスナーの方々を素人呼ばわりするのは
言い訳による逃げだな、と最近思います。
そうならぬよう、日々ベストなパフォーマンスを発揮出来るように
したいものです。

こんなにも素晴らしい環境で仕事をさせて下さるクライアント、
事務所にありがとう。
いつも素晴らしい演奏をして下さるプレイヤーの方にありがとう。
音楽の道を教えてくれた母にありがとう。


さて、指揮の練習しないと!


2009年5月12日火曜日

一山超えて、また一山

先月末から携わっているお仕事がいよいよ山場を迎えました。
連日サウンドスタッフの方々も休日出勤、会社に泊まりこみ体制で
曲のデータを待ってくれていたり。
本当に頭が下がります。
チーム一体となって作品を創る事のモチベーションが、
全く下がる気配がありません。
これは凄い事ですよね、本当に。

「書けたら夜の10時とか、自宅まで聴きに行こうか?」

って言って下さるクライアントなんてかつて無いもんなぁ。
思わず「だ、だいじょうぶです!」なーんて言っちゃったけど、
電話越しに感動してしまった。
クライアントと作家という関係を超えた、信頼関係が築けた瞬間でした。
期待を裏切らないよう、日々是精進で御座います。


結局、作業が終わったのが朝4時過ぎ。
ちょっと興奮気味だったので、勢いで新しく頂いたお仕事の曲も書く事に。
これまた詳細が発表になっていないので詳しくは書けませんけど、
今年公開予定の映画に向けて、数曲オケアレンジのお話を頂きました。
残念ながらこれはオリジナルの作品ではなく、クラシックの既存曲を
アレンジする事になりそうですけど。
事務所で頂いた資料に目を通すと、ワーグナーの大作が・・・。
100人規模のオーケストラを書くの!?
うーむ、ワーグナーチューバとか音出せないぞー。

いよいよ作業環境を考えないと、大規模な曲の作業が困難ですね。
次期MacOSが出れば一気に環境整いそうなのですが、こればかりはどうしてもね。
64bitOSの恩恵を受けるべく、Windowsマシンでも専用に作ろうかな、と
考え始めました。
Macをマスターにして、Logicの環境はそのまま、Viennaの演算処理とメモリ、
ディスクアクセスの分散が主な狙いです。

単純に今の編成の倍は出音を稼げるので、とても効果がありそうです。
予算も10万と必要無いでしょう。ハープ単体の音出すのに12万とか出していたから
なんか安く感じます。。。いかんいかん。
とは言え、出音の数って音楽の質にはそれ程影響しないよなぁ。
ピアノ曲とオーケストラ曲、使用している楽器数が多いオーケストラ曲の方が
より音楽に感動するか、と言われたらそんなこと無いもんね。
沢山音を出す事よりも、よい旋律、意味のあるアレンジを突き詰めるべき、
ということでしょう。

高校時代、練習室の扉を全部開け放って、クラスメート4人で同じ曲を弾いたのを思い出した。
4倍デカイ音が鳴るんだろうな!と期待していたのだけど、
結果は1台と然程変わりが無く聴こえる結果に。
相対的な音量差を聴き比べないと判別がつかないんだろうね。
アレンジをする時のダイナミクスを決めるコツも、ココにある気がします。

スイカに振る塩とか、酢豚に入っているパイナップルとか、
いつもツンツンしているあの子が急にデレっとしてくることにトキメクとか、
きっとそういうことだよ。


・・・だぞ?



2009年5月8日金曜日

アナタだけに教える管弦楽法Tips ~初級編~

今回は管弦楽法の中からすぐに使える小技をひとつ。

木管楽器で旋律を鳴らす時、フルートとクラリネットを1オクターヴ離して
ユニゾンにしてみよう。
するとアラ不思議。
両方の楽器の特性が見事に混ざり合って、
何とも豊かな音色になるではありませんか!

これをフルリネット技法と言います。
あ、今勝手に命名してやりました。

本当はフルート+オーボエと言いたいのだけど、
これは鉄板過ぎるので却下。
加えて呼称のフルーエもオルート、も何だか収まりが悪いし。
結局、フルリネットと言いたいだけじゃないの?というお話。

さぁ、今日から使ってみよう。
冷え切ったスタジオの空気も一気に暖まります。
タイミングを誤ると発言者の存在自体が空気になるので注意。


つづく(?)

2009年5月6日水曜日

体感時間

皆様、GWは楽しく過ごせましたか?
生憎終盤には天候が崩れてしまって残念でしたが、
それでも過ごし易かったですよね。
ここ3日間、自宅から200m以上出歩いてませんけど・笑

平行して抱えていた仕事の一つがGW中に終わり、
残すところ一つに絞られました。
先月から書いている例のスコアモノなんですけれど。
色々とサウンドスタッフの方々の意見や意向を伺いつつ、
形にしていく作業が続きます。
何だかそのやり取りを繰り返していたら、あっという間に
GWが最終日になっていた、というお話。
最近、時間の経過が早く感じるから、それだけ充実しているという
事なんだろうなー。

スタジオに入っていたり、ステージで演奏していたり、
友人と食事をしながら会話していたりしていると、
時間が早く進むのは何故だろう。
今回のお仕事も、それと同じくらい楽しんでいる、という事かな。
昨日も晩ご飯食べて曲を書き始め、気付いたら朝の8時。
GW最終日なのに生活サイクル狂わせてしまったのが痛い!

今日はゆっくりと曲の直しを入れつつ、GW頭に借りていた
作品を観ようと思います。
前々から観たいと思っていた「電脳コイル」と「忘念のザムド」。
共にアニメーション作品です。

「電脳コイル」は今も再々放送がNHKのBS2でやっているので
ご存知の方も多いはず。
NHKの作るアニメーション作品は良作が多いなぁ。

「忘念のザムド」は何と言っても宮地昌幸さんの初監督作品。
若手ながら、かの宮崎駿氏にその才能を見出され、いきなり
「千と千尋の神隠し」で監督助手に抜擢された方。
細かな演出や動き、世界観の描き方にジブリっぽい箇所があって
思わずニヤリとさせられる。
音楽も大好きな大島ミチルさん。全26話は長いけれど、
間もなくDVD/Blue-ray化されるとの事なので購入してじっくり観ようかな。

両作品共、作画が凄くて話題になっていたので、そこも楽しみ。
考えてみたらアニメーションって技術は進歩しても根本的な技法は
手書きの絵の連続なんですよね。
PCや機材の質が上がっても、結局は紙と鉛筆から始まる。
何だか音楽と似ているなーと思うのです。
いくらPCや音源が発達してもPCは音楽を作ってくれないし、
良い音源を使っても人を感動させられる訳ではない。
どちらも元となるデッサン力を高めないといけない。

良い景色やリアルな動きを表現する場合、普段身の回りに溢れている物や
景色、人の仕草まで見方が変わってくるんだろうな。
より多く、より注意深く観察することで表現出来る幅や奥行きが広がっていく。

音楽も同じですね。
良い音楽を生み出すには、沢山聴いて(インプット)、沢山書く(アウトプット)。
どこかの社長も似た様な事を言っていた気がするなぁ。

まだまだ先は長い。


2009年5月1日金曜日

GW

世間はGWというお祭り真っ最中らしいですが、如何お過ごしですか?

え、僕?相変わらず鉛筆握りしめてスコア書いてますけども何か。
正直混雑している場所なんかに行くよりスコア書いてた方が楽しいですし。
罰ゲームでも御免です。はい。

そもそも私のオシゴトは、皆様が休日に心行く迄お楽しみ頂ける様、
様々な音での演出を担う事でありんす。
日々休日返上で制作に打ち込むのを生業として候。


べ、べつに外出なんてしたくないんだからねっ!


さぁ今すぐ君も励ましのメッセージを送ろう。
差し入れも大歓迎だぞ(お一人3000円から)。


あ、最近和菓子が好きです>_<



プリプロ

毎日Mac/Logic8の環境でオーケストラ書いていると、純粋な音楽を作る以外でのストレスが物凄い。
今回は、今後の制作環境改善メモを兼ねてあれこれ書いてみる。

1.Plug-Inが一定数を超えると動作が著しく重くなる。
2.物理的なメモリ不足。
3.HDDのシークタイム制限がきつい。

主に上記3つ。
どれもベースとなるMac側を改善しないと駄目なのが、ね。
現在主に使用している音源はViennaのシリーズだけど、大編成のオケともなると
使用する楽器数が物凄い。
現状は核となるセッションファイルで弦、木管、金管、その他を書いて、
別セッションで別にパーカッション、ピアノを加えている状態。
昔は譜面から作曲せず、いきなりLogicで打ち込んでいたものだから、
弦の積みを変更したりして、それに伴ってピアノの修正も行いたい場合が不便。
譜面ベースで曲を書くようになってから、だいぶ軽減されたとは言え、
やっぱり不便。

Viennaにはensembleという拡張機能があって、複数台のPCを並列化出来るんですね。
要するにCPUに掛かる負荷を複数のPCへ分散出来るわけ。
これに伴って2番目のストレスも改善されるんですね。
現在16GBのメモリで作業をしているけど、それでも足らないもんなぁ。
単純に2台のMacを並列化することで、32GB分のメモリが活用出来るのは大きい。

最後に3番目。
これはもうHDDの限界で、要するに光学ディスクに記憶された情報を読み取る針の速度に
限界があって、既にそこでデータ読み出しのボトルネックがかかっている、という話。
ここ1年位でHDDに代わってSSDが台頭してきたけれど、まだまだ高値。
とは言え、160GBで7万程度なのでViennaのサンプルは丸ごと収まるわけで。
リード250MB/sというHDDベースでは考えられない読み込み速度となるので、
非常に恩恵があるでしょう。
eastwestとvienna用に2つ分けて使いたい所です。
って16万コース!?
MacBook買えちゃうな。

ただ、ストレージの世界は一週間単位で記憶量と価格が激動するので、
先にMacを買い足した後でも遅くないと思っている。
またMacもアーキテクチャが刷新されたばかりなので、今年末~来年頭モデルを買おうかと。
現状我慢が続くけど、暫くは音源を買い足していこうかねー。

既に欲しい音源が3本あるので、近々買おうかな。
仕事をして仕事の道具を買う。
何か間違ってる???


そこから産まれる作品が皆様に感動を与えられますように。